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渡塾
2020.10.2
不登校の進路選択|高等専修学校へ進んだ男の子の事例

不登校状態から関わり始める

「学校の先生嫌いやねん・・・」

中学1年生から学校に行けなくなったAくん。

中学3年生になるタイミングであっとすくーるの事業を利用し始めました。

 

利用開始当初は話しかけても俯き加減で、なかなか会話が続きませんでした。

 

「どうする?勉強してみる?」

「・・・」

「なんか他のことしてみる?」

「・・・」

 

口には出しませんが「なんでこんなところに連れてこられたんやろう」そう言っているような表情を浮かべていました。

 

担当の大学生講師もどう関係を築いていったらいいのかということに頭を悩ませて、毎週のように活動後の振り返りで彼に関する相談をしてくれていました。その振り返りで出たアドバイスを活かして「じゃあ来週は〜をやってみます」と諦めずに何度も何度も彼へのアプローチを繰り返してくれました。

 

そんなことを繰り返すうちに、ついに彼が話してくれる話題を見つけました。スマホゲームが特に好きだった彼は、次第にそのゲームの話になると口数が多くなるようになり、彼に関わっていた大学生講師も一緒にゲームをプレイするようになりました。

 

「最近起きてからずっとゲームしてるねん。」

「ほんまに!?俺(講師)、全然できてへんねんなぁ。」

「めっちゃ石ゲットしたで!」

 

先生と生徒、というより友達のような間柄で話をすることが出来るようになっていました。

 

「今日兄弟とけんかしてん」

 

それまでゲームの話一辺倒だった彼との会話の中に、こうした家庭で起きた出来事なんかも出てくるようになりました。

 

進路どうする?

夏休みが終わって2学期に入ったある日、雑談の中で進路の話になりました。

 

「あと半年くらいで中学卒業やなぁ。卒業したら何したいとかあるん?」

「うーん・・・なんもしたくないなぁ。」

 

あまり将来のことは考えたくなさそうな彼でしたが、高卒資格は欲しく、高校に行って中退をすることは避けたいということで、彼に合う形での通学を模索していくことにしました。

 

「〜〜くん見て!こんな高校あるみたいやで!」

 

担当の大学生講師も様々な情報を集めてきては彼に紹介をしてくれました。

 

その中で見えてきたのが「高等専修学校」への進学でした。

高等専修学校は職業に直結する知識を学べる学校で、不登校の子どもたちを中心に受け入れている学校もあります。

 

そこで彼は情報系の高等専修学校に絞り学校を選んだ結果、大阪府内のとある高等専修学校を受験することに決まりました。

 

もう一つの壁が・・・

しかし、一緒に進路を決められたは良いものの、もう一つ壁がありました。

実は、高等専修学校はその学校に通うだけでは高校卒業資格を取ることが出来ず、技能連携校という形で別の通信制高校に籍を置く、言わば「ダブルスクール」の形で高卒資格取得を目指す形態の学校なのです。

技能連携校である通信制高校への入学願書として「作文」がありました。その作文には中学校生活や学んだことや高校生活でがんばりたいことを盛り込まなければならず、不登校期間が長かった彼には非常に書きづらく重い内容でした。

 

「やばい。中学のこととか何も書かれへん。先生が嫌いやった、くらいやわ。」

 

やっとの思いで見つけた、彼が行きたいと思える学校だったのですが、そう簡単にはいきません。

そこで、同じような子どもたちに関わったことがないか他の事業に関わる大学生講師や職員にも相談をしました。

 

すると、「同じような子どもを見たことある」という講師が見つかったり「実は自分も中学生時代不登校だったから、何か力になりたい」と言ってくれる講師も現れました。

 

こうして担当していた大学生講師以外にも、複数の大学生が彼に関わり、作文に書けそうなことを聞き取りながら進めていきました。

その結果、作成に約3週間かかりましたが、何とか書き上げました。

 

作文を書き終えたときの疲労感いっぱいの感じと、やり切れたことへの安堵感が混じった彼の表情を見て、大変なことも多かったけど本当によかったなぁと、今までの努力が報われた嬉しさでいっぱいでした。

 

そして、彼は無事に入学をすることが出来ました。

 

卒業後の様子

あっとすくーると関わった期間は約1年でしたが、卒業後も定期的に連絡を取り合い、顔を見せてくれています。

 

今は自分のやりたいことを見つけるために毎日学校に通っています。

 

もしかしたらこれから先、1人では乗り越えられない壁に再びぶつかるかもしれませんが、そのときは再び彼の支えになれるように、これからも繋がり続けていくつもりです。

 

高校を無事に卒業できたら、ささやかですがお祝いをしたいと思います。

 

NPO法人あっとすくーる 職員

柴原 渓

 


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