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お知らせ

あっとすくーる
2026.7.15
【「ひとりに、とことん。」向き合い続けた1年間 #1 「私たちが最初に大切にしたこと。」】

今回から数回に分けて、一人の生徒との関わりについてお話ししたいと思います。

 

中学2年生の終わりに出会い、中学校を卒業するまで関わり続けた、一人の男の子です。

 

長い間学校へ通えておらず、進路への不安も抱えていました。

 

この一年間、私たちは勉強だけでなく、学校へ向かうことや身の回りのこと、進路のことまで、その子と一緒に考え続けました。

 

振り返ってみると、「ひとりに、とことん。」という言葉を最も実感した一年だったように思います。

 

今回は、その最初の頃のお話です。

 

 

毎週塾へ来ること

初めて会った時のことは、今でもよく覚えています。

 

長い間学校へ通えておらず、お母さんと一緒に入塾の相談に来てくれました。

 

髪は伸び放題で、話を聞いているのか、聞いていないのかも分からない。

 

こちらの言葉が届いているのかも分からない。

 

そんな第一印象でした。

 

それでも、こちらが提案することは、嫌がることなく受け止めてくれる。

 

そんな生徒でもありました。

 

当時、その子には、勉強や進路など、たくさんの課題がありました。

 

でも私は、まず勉強を頑張ってもらおうとは思いませんでした。

 

長い間学校へ通えていない子にとって、毎週決まった時間に一つの場所へ通い続けることは、決して簡単なことではありません。

 

だから最初の目標は、「毎週塾へ来ること」でした。

 

数学を少し勉強して、一緒にゲームをする。

 

勉強だけで終わる時間にはせず、「また来よう」と思える場所を一緒につくることを大切にしていました。

 

Switchを開き、ゲームのことについて話す。

 

「このキャラクター強いよな。」

 

「いや、こっちの方が強いって。」

 

勉強の話よりも、ゲームの話をしている時間の方が長かった日もありました。

 

でも、そんな時間があったからこそ、少しずつ距離は縮まっていったのだと思います。

 

 

学校までの道のり

塾にも、少しずつ安定して通ってくれるようになりました。

 

塾には来られるようになってきた一方で、学校へ行くことは、まだ大きな壁のままでした。

 

あっとすくーるでは、学校へ一緒に行くアウトリーチ事業も行っています。

 

当時も別の学生が担当していましたが、学校へ行くことには、なかなかつながっていませんでした。

 

だったら、自分が担当しよう。

 

自分が一緒に学校へ行けば、その子も行けるかもしれない。

 

そんなことを考えました。

 

本人に伝えたのは、一つだけです。

 

「迎えに行くから、制服を着て待っていて。」

 

当日、自宅へ迎えに行くと、本当に制服を着て待っていてくれました。

 

学校までの道では、学校の話はほとんどしません。

 

いつも通り、ゲームの話ばかりでした。

 

どのキャラクターが強いのか。

 

そんな話をしながら、一緒に学校へ向かいました。

 

学校へ着くと、どうやって学校へ入ればいいのか分からない様子でした。

 

彼は私の隣ではなく、数歩後ろを歩いていました。

 

長い間学校へ通えていなかった子にとって、学校へ向かうことは、それだけ勇気のいることだったのだと思います。

 

だから、その日は無理に背中を押すのではなく、ただ隣で一緒に歩こうと思いました。

 

 

「数学だけでも受けてみよう」

塾と学校の別室。

 

二つの場所で過ごす日々が始まりました。

 

学校では塾で進めていた数学の続きを一緒に勉強し、時にはゲームの話をしながら過ごしました。

 

そんな時間を毎週積み重ねていきました。

 

そして、担当になって最初の定期テスト。

 

「数学だけでも受けてみよう。」

 

そう本人に伝えました。

 

数学は、もともと苦手というわけではありませんでした。

 

塾でも基礎から少しずつ積み重ねてきたので、「きっとできる」と思っていました。

 

後日、本人が持ってきてくれた答案には、30点を超える点数が書かれていました。

 

一般的に見れば、決して高い点数ではありません。

 

それでも、普段学校へ通えていない中で、テストの日に学校へ行き、自分の力で30点を超えることは、決して簡単なことではありません。

 

その子が積み重ねてきたものが、初めて結果として表れた瞬間だったように思います。

 

思わず、私の方が嬉しくなったことを覚えています。

 

本人は言葉にも、表情にもあまり出しません。

 

でも、きっと嬉しかったのだと思います。

 

そんな小さな変化が、とても印象に残っています。

 

 

変わり始めた日々

この頃は、まだ毎日学校へ通えるようになったわけではありません。

 

大きく何かが変わったわけでもありません。

 

それでも、塾へ通うことが日常になり、週に一度、一緒に学校へ向かうようになりました。

 

一歩ずつではありましたが、その子の中で確かに前へ進み始めていたのだと思います。

 

そして、この小さな積み重ねが、この先の一年につながっていきます。

 

この一年を通して、私は改めて「ひとりに、とことん。」という言葉の意味を考えることになりました。

 

その続きは、次回お話ししたいと思います。

 

 

#2へ続く‐‐‐

「ひとりにとことん。」向き合い続けた1年間#2 「勉強以外に大切にしたかったこと。」

 

 

保護者の皆様へ

 

勉強だけでなく、学校へ行くことや居場所づくりなど、お子さん一人ひとりに合わせた関わりを大切にしています。

 

どんな状態でも、まずはお気軽にご相談ください。

 

ご寄付をご検討の皆様へ

 

こうした一人ひとりに寄り添う時間は、皆様のご支援によって支えられています。

 

子どもたちが安心して前へ進める居場所を、これからも一緒に支えていただけると嬉しいです。