お知らせ
今回も、前回に続いて、一人の生徒との関わりについてお話ししたいと思います。
長い間学校へ通えておらず、人と話すことも、自分の気持ちを表に出すことも少なかった一人の男の子。
毎週塾へ通うことから始まり、一緒に学校へ向かい、少しずつ自分に自信を持てるようになってきました。
そして今回は、その積み重ねが、「将来を選ぶ」という次の一歩につながっていくまでのお話です。
少しずつ増えていった「できた」

中学3年生になり、二回目の定期テストを迎えました。
今回も本人には、
「数学だけでも受けてみよう。」
そう伝えました。
これまで塾や学校で少しずつ積み重ねてきた数学なら、きっとできる。
そんな思いで送り出しました。
後日、本人が持ってきてくれた答案には、50点を超える点数が書かれていました。
学校へほとんど通えていない中で、テストの日に学校へ行き、自分の力で50点を超える。
私は、その答案を見た瞬間、本当に嬉しかったことを今でも覚えています。
本人は相変わらず、大きく喜ぶタイプではありません。
何か言うわけでもなく、表情が大きく変わるわけでもない。
でも、きっと本人の中では嬉しかったんじゃないかな。
そんなふうに思えたことも、よく覚えています。
この頃から、「できるかもしれない」という感覚が、その子の中に少しずつ育っていたように感じます。
そして、その小さな積み重ねは、進路を考えることにもつながっていきました。
自分に合う場所を探して

少しずつ「できた」が増えていく中で、卒業後の進路についても考える時期になりました。
もちろん、最初から高校の話が順調に進んだわけではありません。
「将来のことを考えよう。」
そんな話をしても、なかなか本人には響きませんでした。
だからこそ、「この子にはどんな場所が合うんだろう。」
そんなことを考えながら、一緒にいくつかの学校を調べていました。
その中で見つけたのが、音楽コースのある通信制高校でした。
ピアノが好きだった本人なら、興味を持てるかもしれない。
そう思い、本人にも話をすると、
「行ってみる。」
と、前向きな返事をしてくれました。
実際に説明会へ行くと、それまでとは少し様子が違いました。
先生の話を楽しそうに聞き、校舎を見学しながら、自然と表情も柔らかくなっていました。
この子に合う場所が見つかったのかもしれない。
そんなことを感じたのを覚えています。
一人ではなく、みんなで支える

高校を受験するためには、面接もあります。
普段あまり自分の気持ちを言葉にしない本人にとって、面接は決して簡単なものではありませんでした。
そこで、学校の先生にも協力をお願いし、面接の練習を重ねることになりました。
あっとすくーるだけではありません。
学校の先生も一緒になって、その子の進路を支えてくださいました。
一人の子どものために、それぞれの立場でできることを持ち寄る。
改めて、「支援は一人で行うものではない」ということを実感した出来事でした。
自分で未来を選び始めた日

初めて出会った頃の彼は、何を考えているのか分からず、自分の気持ちを表に出すこともほとんどありませんでした。
でも、一緒に塾へ通い、一緒に学校へ向かい、勉強以外の時間も積み重ねる中で、少しずつ変わっていきました。
そして今、自分に合う高校を探し、自分の足で説明会へ行き、受験に向けて準備を進めています。
もちろん、不安がなくなったわけではありません。
それでも、「自分で進路を選んでみよう。」
そんな一歩を踏み出せたことが、何より大きな変化だったように思います。
この一年を通して、私は改めて「ひとりに、とことん。」という言葉の意味を考えることになりました。
その続きは、次回お話ししたいと思います。
#4へ続く—
【「ひとりに、とことん。」向き合い続けた1年間 #4「卒業の日に思ったこと。」】
保護者の皆様へ
進路への不安は、子どもだけでなく、保護者の皆様も抱えるものです。
私たちは勉強だけでなく、その子に合った進路や環境も一緒に考えながら寄り添います。
一人で悩まず、ぜひお気軽にご相談ください。
ご寄付をご検討の皆様へ
子どもたちが自分の未来を選べるようになるまでには、時間をかけた関わりが欠かせません。
皆様からのご寄付は、そうした「ひとりに、とことん。」向き合う時間を支えています。
これからも、子どもたちが自分らしい未来を歩めるよう、ご支援をよろしくお願いいたします。









