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2026.8.5
【「ひとりに、とことん。」向き合い続けた1年間#4 「卒業の日に思ったこと。」】

今回で、この連載も最後になります。

 

長い間学校へ通うことができず、自分の気持ちを表に出すことも少なかった一人の男の子。

 

毎週塾へ通うことから始まり、一緒に学校へ向かい、小さな「できた」を積み重ねながら、自分の未来を少しずつ考えられるようになっていきました。

 

そして迎えた、中学校卒業の日。

 

今でも忘れられない一日です。

 

卒業の日

卒業式が近づいてきた頃のことです。

 

本人に卒業式へ行く気持ちがあるのか聞くと、

 

「行きたくない。」

 

そんな返事が返ってきました。

 

学校へ通える日が少しずつ増えてきたとはいえ、卒業式は多くの生徒が集まる特別な日です。

 

本人にとっては、まだ大きな壁でした。

 

そんな中、学校の先生が、

 

「できれば卒業式に来てほしい。」

 

と、本人へ何度も話してくださいました。

 

それでも、本人の気持ちは変わりませんでした。

 

すると先生から、

 

「午後に、卒業式へ参加できなかった生徒へ卒業証書を渡す時間を設けます。」

 

という提案がありました。

 

私は、そのことを本人へ伝えました。

 

すると、

 

「それなら、行けるかもしれない。」

 

そんな言葉が返ってきました。

 

保護者の方へもお伝えしましたが、その日はお仕事で来ることができないとのことでした。

 

卒業という大切な節目。

 

本当は保護者の方に見届けてもらえたら一番いい。

 

そう思いました。

 

でも、それが難しいなら。

 

「じゃあ、私が一緒に行こう。」

 

そう決めました。

 

本人へ伝えたのは、一言だけです。

 

「また制服を着て待っていて。」

 

午後、自宅へ迎えに行くと、本人は制服姿で待っていてくれました。

 

二人で学校まで歩きます。

 

道中も、特別な話はしませんでした。

 

いつものように、ゲームの話をしながら学校へ向かいました。

 

学校へ着くと、先生方が温かく迎えてくださり、卒業証書を受け取る姿を一緒に見守りました。

 

その後、一緒に写真も撮りました。

 

周りから見れば、私はどんな立場だったのか分かりません。

 

でも、あの日だけは、その子の人生の節目を一番近くで見届けたい。

 

ただ、それだけでした。

 

 

この一年を振り返って

卒業式が終わり、その子は無事に通信制高校へ進学しました。

 

そして今も、あっとすくーるへ通い続けてくれています。

 

中学校を卒業したからといって、私たちの関わりが終わったわけではありません。

 

高校生活のこと。

 

その先の進路のこと。

 

これからも、一緒に考えながら歩んでいきます。

 

 

 

「ひとりに、とことん。」ということ

4回にわたって、一人の生徒との関わりをお届けしてきました。

 

この経験を通して、私たちが改めて感じたことがあります。

 

子どもを変えたのは、特別な出来事ではありませんでした。

 

振り返れば、この一年で積み重ねてきたことは、どれも特別なことではありません。

 

毎週塾へ来ること。

 

一緒に学校へ向かうこと。

 

勉強だけではなく、ゲームの話をすること。

 

髪を切りに行くこと。

 

テストを受けること。

 

進路を考えること。

 

卒業式へ行くこと。

 

一つひとつを見れば、本当に小さな出来事ばかりです。

 

でも、その小さな積み重ねがあったからこそ、その子は少しずつ自信をつけ、自分の未来を選べるようになっていきました。

 

私たちが掲げる「ひとりに、とことん。」という言葉は、特別な支援をすることではありません。

 

目の前の一人と向き合い続け、その子が前を向けるようになるまで、一緒に歩み続けること。

 

子どもが変わる瞬間だけではなく、その過程に寄り添い続けること。

 

それこそが、私たちが大切にしている支援です。

 

そして、この一年が終わっても、私たちの関わりは、続いていきます。

 

連載一覧

【「ひとりに、とことん。」向き合い続けた1年間 #1 「私たちが最初に大切にしたこと。」】

【「ひとりに、とことん。」向き合い続けた1年間 #2 「勉強以外に大切にしたかったこと。」】

【「ひとりに、とことん。」向き合い続けた1年間 #3「自分で未来を選び始めた日」】

 

 

 

保護者の皆様へ

 

子どもが前を向けるようになるまでの歩みは、一人ひとり違います。

 

私たちは勉強だけでなく、その子らしいペースに寄り添いながら、ともに歩んでいきます。

 

どんなことでも、まずはお気軽にご相談ください。

 

 

ご寄付をご検討の皆様へ

 

皆様からのご支援は、子どもたちと長い時間をかけて向き合う活動を支えています。

 

これからも、「ひとりに、とことん。」寄り添い続けられるよう、温かいご支援をよろしくお願いいたします。