お知らせ
皆様にお詫びとご報告があります、2年前の震災時にご寄付を財源に再建された高槻教室を閉校することになりました。
申し訳なさと悔しさでいっぱいですが、経緯の詳細と今後について、ご報告させていただきます。
閉校を判断した経緯
コロナの影響による財務状況の悪化で、このままいくと資金がショートし法人が存続できない状況に陥ったため、借入れを決断することになりました。
借入の返済を最優先に事業運営せざるを得なくなり、毎月約30万円の固定費が発生している高槻を撤退せざるを得ないという運びになりました。
高槻を残す選択肢を有識者の方に相談しつつ、自分の脳をフル稼働させ検討しましたが、高槻の月次収支における赤字幅が大きい事や、コロナの影響を勘案すると、法人そのものの存続が危ぶまれる中で、撤退せざるを得ないという苦渋の決断に至りました。
2年前の震災を経て、多くの方の貴重なご寄付と思いを託していただき再建された高槻から撤退せざるを得ない状況になった事は、すべて私の不徳の致すところで、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
寄付者の皆様のご好意や温情を振返り、現在利用して下さっている子ども達や親御さんの顔を思い浮かべると、このような形で文字に起こす事自体、はばかられますが、まずは、状況をご報告させていただきます。
高槻の今後について
撤退に際し、大家さんと交渉させていただきました。契約通りであれば原状回復をして退去をしなければいけないのですが、教室ができた経緯や私たちの想いを汲み取ってくださり、原状回復はせず、このままで大丈夫ですと言っていただきました。
現在は知り合いのNPO等に声をかけ、少しでも再建の経緯を汲んで、有効に使っていただける事業者に入ってもらえるように尽力しております。具体的には、子どもたちに何かしらのサポートを行なっている事業者の方に入っていただけないか、相談をしております。
北部地震の際に「高槻の子どもたちの居場所を守るために」とたくさんのご寄付をいただいたので、私たちが退去した後も高槻の子どもたちを支える場所としてあの場所が残り続けてもらえたらという思いからです。
大家さんも理解を示してくださり、現在も後に入っていただける事業者を探しております。
現時点ではまだ後を継いで下さる事業者が決まっておらず、どんな事業者が入るかは分からない状況です。
ただ、高槻が再建されたことで繋がった子ども達とは、オンラインで関係を維持していますので、今後もあっとすくーるを利用してもらえるように努めたいと思っています。
今通っている子ども達とつながれた事は、高槻の再建がなければ実現し得なかった事であり、その子ども達に高槻に通えなくなったことで生じる不安を取り除き、新たな価値を提供できる事が、この状況下で寄付者の皆様に対して行える最大の誠意だと思っています。
私の力不足について
今回の事態に陥った根本原因は、私自身の経営に関する能力が不足している事に他なりません。
大学卒業後、寝食を忘れてがむしゃらに起業し、これまで我流で何とか10年続けてくる事ができていましたが、大きな経営危機に遭うことなく、自身の能力不足の改善必要性に迫られる機会がなかったため、今回、問題が一気に顕在化してしまったという状況です。
大切なご寄付を預かり、子どもたちの人生に影響する事業を推進する立場としては恥ずかしい限りですが、経営能力が不足して進んでしまっていること自体、認識が持てない状況でした。
この10年で、今回のような事態に直面せずとも、能力不足を感じ、あっとすくーるを辞めたいと思ったことは、これまで何度もあります。
一番最初は立ち上げてから3年目ごろのことだったと思います。
ある日生徒から「渡さん、相談があんねん」と言われ、話をする時間を取りました。
「俺な、塾辞めようと思う」
それまで楽しそうに通ってくれていた彼の一言に、大きな衝撃を受けました。理由を聞くと、彼からこんな言葉が返ってきました。
「これ以上、親に負担かけたくないねん」
こういう想いを同じ境遇にある子どもたちにさせたくないと思ってあっとすくーるを立ち上げて塾を始めたはずなのに、それができませんでした。
なんのためにやってるんだろう。やる意味があるのか。子どもにこんなことを言わせてしまう自分に、ひとり親家庭が安心して暮らせる社会をつくるなんてできないんじゃないかと、心が折れそうになったこともありました。
今回の事態を招いてしまい、改めて、経営者に向いていないのではという気持ちが生れているのは正直な気持ちです。
でも、コロナの影響で生活が苦しくなっているひとり親家庭がいます。
ようやく学校は再開し始めましたが、今年受験生の子たちは大きな不安を抱えています。
元々家で過ごすことや保護者との関係にストレスを感じていて、休校期間中に大きく状態が悪化した子どもがいます。
目の前にいる子どもたちや保護者を守りたい、力になりたいというのが正直な想いです。
一方で、こんな自分にそれをやる資格はないんじゃないかという不安も同じくらいあります。
お前なんかにやる資格はない。
こんなことをしておいて、まだ応援してくださいなんて言うのか。
応援してくださった方にそう言われるんじゃないかと考え、考え始めたら悪い想像は止まらなくなり、今まで続けていたような発信をすることも、苦しさのあまりできなくなりました。
また間違うんじゃないかという怖さはあります。ものすごくあります。
でも、コロナ前から苦しい状況にあったひとり親家庭の親子が、コロナによってさらに苦しい状況に追い込まれている今、それがわかっているのにそこから目を背けて逃げるという選択がどうしてもできませんでした
「どうしてうちがこんなにしんどいのに、誰も助けてくれないの?」
僕が中学生の頃に泣きながら母に言った言葉です。
今、こんな風に思ってる子どもや家族がいるんじゃないか、そしてそれは増えているんじゃないかと思うと、自分の力不足は分かりながらも、どうしてもそこに向き合いたいという想いを止めることができませんでした。
本当にわがままなのですが、代表を辞さずにあっとすくーるを立て直し、今目の前で困っている子どもたちを支えることはもちろん、私たちを必要としてくれるより多くの子ども達と出会い、支えていける体制にすることが責任のとり方であると思い、覚悟をもって、これからも事業に取り組んでいくことにしました。
とはいえ、自分の能力だけで経営を続けることに限界があることは自明ですので、今回の対策として、新たにお一人理事として参画いただき、管理面の強化に努めています。
併せて、計画通りに返済できるよう寄付者や利用者を増やすべく、半年前から外部の方に入っていただいてます。
その結果、昨年の同時期と比べて寄付額が約2倍程度に集まり、返済不要の奨学金制度で通える子どもが昨年度6人だったのが、現時点で12人に増加していて、改善の兆しは感じています。(ただ、応募が23件あって、家計が苦しいのは分かっているのに、支給できないとお伝えしないといけない家庭があるという事実はとても辛く、力不足を感じています)。
さいごに
こういった状況であり、かつ、コロナの影響もある中で、あっとすくーるの体制を今後も変更する部分はあるかと思います。
しかし、ひとり親家庭のことを第一に考え、今の経営資源をひとり親家庭に最大限還元できるためにはどうすればよいかということを念頭におきながら、自身の能力を高め、足りない所は外部の方に助けてもらいながら、これからも頑張りたいと思います。
最後になりますが、ご期待に応えることができず、本当に申し訳ありませんでした。
2度と同じ失敗をしないよう、私自身が頑張ることはもちろん、職員と一丸となって頑張ってまいります。
最後まで長文を読んで下さり、ありがとうございました。