お知らせ
あっとすくーるを立ち上げる際にお話を伺っていたひとり親家庭のお母さんから、こんなことを言われたことがありました。
「母子家庭で男の子だと父親がいなくて大人の男性のロールモデルを見せてあげられない。だからあなたが男性であることが私にとっては嬉しい。」
全ての方がこう思うわけではないと思いますが、母子家庭で男の子を育てているがゆえに生まれる悩みが他にもあるのかもしれない。
そこであっとすくーるで活動してくれている「母子家庭育ちの男の子(以下、母子家庭男子)」に、アンケートを取ってみました。
まだまだ全然回答数が少ないため「母子家庭男の子の傾向」と言えるような内容ではありませんが、「なるほど、こんな風に思う子もいるのか」と参考にしていただけたら嬉しいです!
※多様な性の在り方があるので本当はそこに配慮をしなければいけませんが、伝えたい内容のわかりやすさのために記事中ではあえて「男子」「女子」という表現を使います。ご了承ください。
父親不在はネガティブ?
父親不在による寂しさ・困りごと
まず初めに「父親がいなくて寂しいと感じたことや困ったことはありますか?」と聞いてみました。
結果は50%が「ある」と回答してくれました。
その理由のうち最も多かったのが「お金」に関すること。
単純にお父さんがいれば稼ぐ人が二人になるからお金が楽になると思っている子もいるでしょうし、男性の方が収入が高いということでお父さんがいてくれたらと思ってる子もいるかもしれません。
あとは身を粉にして働いてくれているお母さんを見て、お父さんがいればもっと楽になるのかな・・・と思う子どももいると思います。
この辺りは人によって変わる気がしますが、それでも「父親がいないとお金の面で困る」と感じる子どもは多い気がします。
ちなみにその他の理由として「男のアドバイスが欲しい時にもらえない」というのもありました。
これは仮にお父さんでなくても、例えば親戚の方々でカバーできる部分かもしれません。
母子家庭男子だったり父子家庭女子の場合は、「同性の大人に聞きたい」ということができた時に気軽に相談できる相手を見つけておいてあげるというのは一つ大事なことですね!
父親不在=しっかりした大人になれない?
次に「父親がいないとしっかりした大人になれない」みたいな声に対してどう思いますか?という質問に答えてもらいましたが、これについてはこんな声がありました(一部抜粋)。
「母親と周りの環境(学校や友達)によると思う。だから、しっかりとした大人になれない原因が父親だとは思わない。」
「そんなことはない、現に父親がいない私がしっかりとした大人になろうとしているから(父親以外にもたくさん導いてくれる人はいる)」
「父親の有無以外の環境要因はたくさんあり、一概にいえない。しっかりした教育の有無の方が重要だと思う。」
ちなみになぜこれについて聞いたかというと、子どもが学校で問題を起こした時に先生から「失礼ですが、片親だからこんなことになってるんじゃないですか」と言われた保護者の方が過去におられたんです。(本当に失礼!!!)
この先生に代表されるように父親がいないから子どもが荒れる、父親がいないからちゃんとした大人になれない、みたいに思う人はある一定社会の中にいると思い、この質問をしてみました。
ただ今回の回答にあるように、周りの環境が整っていれば父親不在でも問題ないと言えます。
むしろその周りの環境に真っ先に入ってくる学校や学校の先生方こそ、寄り添って一緒に歩んでくれる存在であってほしいです^^
周囲との比較は?
母子家庭であることをどう思っていたか
続いて母子家庭であることをどんな風に思っていたかを聞きました。
「小さい頃は何も思っていなかったし、他の家庭より買ってもらうものも連れて行ってもらえるところも少なかったかもしれないけど、自分が21歳になって仕事と家事とを両立する親の偉大さを感じます。」
「経済的に厳しいので、進学の幅が狭まるなとは受験のとき毎回感じた。あとは自分が母子家庭というと、気を遣われることが多い(自分は全然触れてもらってokやけど)からめんどくさい。その他は特に感じない。」
「高校まで恥ずかしいと思っていた。 それ以降は何も思わなくなっていった。」
何も思わないと言う人もいれば、「恥ずかしい」とストレートに表現してくれる人もいます。
ちなみに自分はこの「高校まで恥ずかしいと思っていた」派です。
今でこそ自分がひとり親家庭であることを話すことに何の躊躇もありませんが、高校生の頃まではできるだけ隠したいと思っていました。
その理由の一つに「気を遣われることが多い(≒同情されているように感じる)」というのはありました。
ちなみにうちの事業を利用してくれている子たちの中に、中学生で自分がひとり親家庭であることをあっけらかんと話す子たちがたまにいます。
その子たちに「なんでそんなにオープンにできるの?」と聞くと「だって結構いっぱいおるで?友達にも何人かいるもん。」と言ってました。
逆に同じ境遇の人が少なかった小学生の時はこんなにオープンにできなかったと言っていたので、同じ境遇の同年代の友人がいるかどうかは一つ大事な要素だと思っています。
両親が揃っている友達、どう思う?
次は「両親が揃っている友達を見て『いいなぁ』と思ったことはありますか?」という質問。
こちらも「ある」という回答が50%でした。
理由を見ていきます。
「仲のいい夫婦で安心できる家庭の話を聞くと羨ましかった。」
「父親というキーワードが出てくる会話に参加できる友人たちを見て。」
「家族でキャンプに行ってきたと話された時。」
父親がいなくて困ることでお金のことが出ていたのでこちらでもそういう回答が出るかと思ったのですが、意外に出ませんでした。
それよりも精神的な部分、家族の繋がりみたいな部分をいいなと思うことが多かったようです。
母子家庭だったからこそ得られたものは?
では逆に、母子家庭だったからこそ得られたものはあるのでしょうか?
この質問への回答では、何と8割以上が「ある」と答えてくれました。
具体的に見ていきます。
「家事を当たり前に手伝うことが意識の中に刷り込まれたのでそれは良い経験だと思います。」
「家事、忍耐力」
男性の家事参加、イクメン等色々言われておりますが、こういう声を見ると母子家庭男子は時代の先端を走っているような気がしますね(笑)
その他にはこんな声も。
「親が忙しくて幼い頃から自分一人でやる、ということが身についてそれが力になっていると思っている。」
「苦しい状況を生きる人への共感力などは身に付いた。」
どうですか?めっちゃ最高じゃないですか?^^
ただこうした声が出てくるのは、今の状況がそこまで苦しいものではないからというのも影響していると思います。
でもそれは裏を返せば、それなりに納得のいく19〜22歳になることで母子家庭での経験をプラスに変えられるということだと思います。
家庭だけでそれを担えるひとり親家庭は多くないと思うので、社会全体でサポートできる体制を整えていかないといけませんね!
さいごに
というわけで今回は母子家庭男子の声を紹介しました!今回答えてくれた学生たちの声を聞く限り「母子家庭男子特有の悩み」みたいなものはなかったように思います。
最後に「母子家庭で男の子を育てるお母さんに伝えたいことや知っておいて欲しいことがあれば教えてください。」という質問で出てきた声をいくつか紹介します。
「彼氏を作ると子どもは素直に喜べない複雑な状況に陥ると思います・・・。」
「色々言われるのがめんどくさい。僕の場合色々言われるのが嫌やったので自分の部屋にこもってた。」
「親子ともに余裕がなく、顔を合わせればケンカになるなんてことがよくありました。でもぶつかり合うのは余裕がないからで、どちらかが悪い、誰かが悪いというものではないと思います。何度もぶつかりましたが、今では本当に感謝しています。いつかわかり合える日が来ることを信じて、助けを借りながら子どもを育ててくれたら嬉しいです。」
今回の記事が少しでも読んでくださった方のお役に立てれば何よりです。
もし記事の内容をご覧いただいて「うちの子どものことで相談したい」というひとり親家庭の保護者の方がおられましたら、遠慮なくご相談ください!
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記事中に書いたような「同性の大人の相談相手」や「同年代の同じ境遇の繋がり」、そして「納得のいく19〜22歳になれるようなサポート」が必要だと感じてくださった方には特にお勧めです!
電話:072-702-0020(火曜〜金曜 13:00〜21:00)